潤いたい欲
冬って唇がカサカサになったりで荒れやすいからリップクリームを塗ったりするんだろうけど、あれを塗るともれなくゲロ吐きそうになるのでそれもままならないわけで。毎年荒れたまんま冬を越そうとするわけで。つまり桜が咲いた、ポカポカしてきたというのではなく、唇がカサカサでなくなったら、そこで初めて春の訪れを実感するのです僕は。唇は未だにカサカサで、むしろカッサカサで、だから春はまだ、別の意味における春もまだ…。春を売ってく…。いろいろと潤いたいのはやまやまだけれど、まずはこの唇をどうにかしないといけない。テレビを見ててうっかり爆笑なんかしたらば最期、唇がパックリ裂けちゃうから。裂けちゃう!なんて言われたことないのに…。そんな悩みを職場の同僚(女子)に相談したイエスタデイ昼下がり。
僕「なんかすごい荒れてんのよ僕の唇、ほれほれ」
女「きもっ。突き出されると余計にきもっ」
僕「もうね、いい加減治ってくれんと困んねん」
女 「唇舐めて湿らせてたら多少はマシかもしれんよ」
僕「んー、そんじゃあチューさせてください」
女「えっ?」
僕「お互いに湿っちゃうかー、みたいな」
女「ええー」
僕「湿らせちゃうぞー、みたいな」
女「…10万円くれたら考える」
僕「ご、いや6千円で!」
女「…金額がリアルすぎて引くわそれ」
僕「財布ん中のありったけをおまえに捧げたい!」
女「…ていうか、さっきから自分とこの課長、こっちじっと見とるけど」
おそるおそる振り向くと、数メートル先に眉毛を攣り上がらせた男が1人。でもよく見ると、課長ではなかった。ならあれは何だ。あれはデビルマンだ。デビルイヤーで会話の内容を聞き取り、デビルビームで僕を焼き殺すつもりなのだ。でもその前にやることがあるだろうよデビルマン。ほら鏡を見たまえ。デビルバーコードが大変なことになっているよ。悪魔の力で悩み無用にはなりませんか?