台風14号

雨はそれほどでもないものの風がそらもうすごくて。今朝も仕事に向かうために駐車場に行ったら、もずくのような、なにやら海草めいたものがべったりと車のフロントガラスに貼り付いてました。風で飛ばされてきたのだろうか?海から?つか何だろうこれ?気持ちが悪い。そして凶悪に臭いんですけど。もし日曜20時ならばチャララララーンチャラランなんて鼻歌混じりにタックミーが現れて、このもずくめいたい何かに覆われた車を瞬く間にリフォームしてくれるのでしょうが、今は水曜朝8時。なんということでしょう!せめて日曜23時半なら「この見事な覆われ具合に、巧!」つって別のタックミーが誉めてくれたりするのでしょうが、やっぱり今は水曜朝8時。当然周りを見ても誰もいやしない。いるのはこちらをじっと見ている猫が一匹。なのでそこらへんに落ちてた木の枝を拾い、美濃輪育久さんさながらにツンツンともずくをつつき、ちょっとずつ剥がしてみました。こちらをじっと見続ける猫。も、もしや僕のリアルプロレスラーとしての本能の目覚めを察知したのだろうか。まずい。まずいですぞ。先ほど剥がしたもずくをやつに投げつける。軽くかわしてニャー!ニャー!うぬう、その2回鳴いたったみたいな顔、もう許せん。生かしてはおけん。すたたっと目にも止まらぬ速さでタックル。テイクダウンを奪い駐車場の端のブロック塀までじりじりと追い込みいわゆるミレニアムコーナーを繰り出したところ、難なく腕をかいくぐられ逆に上に乗っかられて形勢逆転。そのままいわゆるハリトーノフポジションへ移行されてギギギギギニャー!縦横無尽に顔を引っかかれて意識は朦朧そして血塗れ。真っ赤に染まる視界の端にかろうじて写る白い物体。それはタオルという奇跡。ふわりと風に乗って僕らの間に落下。ニ、ニャ、ゴロニャーン。そして顔を伝う暖かい温もり。こ、これは一体。ああ、舐めてくれてるのか。もう闘いは終わった。完全に僕の負けだよ。だから先ほどのもずくを彼の腰に巻いて新チャンピオン誕生。ニャンニャンニャーン!本来、キャットファイトとはこういうことなのである。(民明書房刊「実録!猫ごろし」より)

民明書房大全

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