続・サイドバーと僕

もう僕はすっかりだめになってしまった。仕事が全く手につかない。ご飯を食べても味がしない。気が付くと彼女、サイ子のことばかりを考えてしまう。挙句の果てには油断してると禁断症状で両手がぶるぶると震えだす始末。今、何かのアンケートで「あなたが一番やりたいことは何ですか?」って質問されたとしたら、僕は迷わずに「div class="sidebar"って入力したい」と答えるだろう。ちょっとこのままではさすがにまずかろうと思い、会社を休んで病院に行った。


僕「先生、俺、どうにかなっちまったんでしょうか」
医「ウーン コレハ」
僕「やっぱり入院とか必要なんすかね」
医「コンヤガ ヤマダ」
僕「えー!まじですか山田先生!!!」
医「ダッテ オマエ ノ ビョウメイハ」
僕「早く言って!早く言って!」
医「コイワズライ」
僕「焦らしたわりにはベタですね」


今夜が山場ということは日が変わるまではあと8時間しか残されていない。病院から急いで帰った僕はPCを立ち上げはてなにログイン。焦ってはいけないと自分に言い聞かせながらプライベートモードに切り替え、背景色を黒からいろいろ変えてみる。途中で何回か強烈な睡魔に襲われたが、彼女と撮った、パッと見は僕とPCの画面の右半分が写ってるだけのようにしか見えないツーショット写真を見て気力を振り絞った。そして約6時間が経過してようやく自分なりに納得できるようなものができた。しかし色のみを変えるつもりがいろいろ他も手を付けてしまい、元の面影が全くなくなってしまった。意味なく2回ほどアンテナが上がったりもした。さて、あと残された時間は2時間弱、車を飛ばして彼女の元へと向かう。そして嫌な汗を背中に感じながら、やたらと渇く唇を湿らせながら、彼女に僕の、今の気持ちを素直にぶつけることにした。


僕「俺、まだ全然自分に自信持てないけど、でもお前がいないとダメなんだ」
サ「ふーん。あ、見たわよあなたのダイアリー。やればできるじゃない」
僕「追い込まれると力を発揮するタイプなんだろうねきっと」
サ「とりあえず淡い色にしとけば無難だろって魂胆が見え見えなのが残念だけど」
僕「アメとムチの使い分けがうますぎるよこの人。しかもムチの方がやや多めだし」
サ「あのね…、わたし…」
僕「と思ったら急に昼メロみたいな空気になってるよ」
サ「昨日ね、id:laisoさんにね、俺のところへ来ないかって誘われたの」
僕「な・・・・なんだってー!!そういえばあの人のダイアリ、右半分がガラ空きだよ。そしてlaisoさんと言えばid:gotanda6さんに才能を浪費しがちとまで言われたツワモノ。勝てるわけないじゃん俺!」
サ「うふふ、わたしって案外モテるのよ。ミミズ千本だし」
僕「そんな言葉使う子に育てた覚えはありません」
サ「数の子天井にしとけばよかった?」
僕「確かにおまえは気持ちいいですけども」
サ「でもね、でもね、わたしやっぱりあなたと一緒にいたいの」
僕「えー!なんか分からんけど勝っちゃったよ!!!」
サ「だってね、せっかくあなたが変わろうと努力してくれたんだもん。わたしだって我慢するわよ。ちょっとぐらい見栄えの悪いデザインでも我慢するわよ。っていうかね、それってある意味羞恥プレイじゃない。そう考えたら逆に興奮してくるじゃない!」
僕「おまえ実はただの口の悪い変態だろ」
サ「つべこべ言ってないで早く帰りましょうよ。あの薄汚れた抹茶色のダイアリーに」


こうして僕たちはまた一緒に暮らし始めたのだが、彼女はすっかり変わってしまった。どうやら真性のマゾヒストだったらしく、毎日寝る前に「もっと派手な原色にして!」だとか「目がチカチカするくらいがちょうどいいの!」などと耳元で囁いては僕を困らせてくれる。だから、もし、近日中にこの日記がデコトラみたいにド派手なデザインになったとしても、どうか許してほしい。僕らは2人で一つ、つまりこのダイアリーは僕がメインというかdiv class="main"。