青春の1テラバイト

外付けHDDが壊れていることに気づいて失禁しました。ユーモラスっぽく書くと、おーもらす。超かわいい。念のため書いておきますが、僕は大沢佑香さんや紅音ほたるさんらみたいな感じには漏らしていません。あくまでほんのり程度。だって彼女らのおもらし(潮吹き)には価値がある。でも悲しいかな、僕のおもらしに今のところ価値はない。もし仮に、速水もこみちさんと僕が重なり合いながら階段をゴロゴロゴロゴロってなって、田中もこみちになったなら、漏らしそうにない男が漏らすという意外性を売りにして生きていける。でも僕は僕です。いかにも漏らしそうな男が漏らしているにすぎないじゃないですか。いたって普通。これでは何も生まれません。生まれるとしたら憐れみぐらいのものです。どう考えてたって漏らし損。むしろモラ・シゾン。だからほんのりとしか漏らしません。漏らし惜しみをしている、そう取ってもらって構いません。僕が本気出したら床上浸水レベルで漏らします。それだけは忘れないでください。というのはさておきHDDに詰まっていたのは、単なるデータではありませんでした。生きる力の源でした。ブラックボックスのようでもありピンクボックスのようでもある不思議な四角い箱でした。それがいまや鉄の屑。悲しみと憤りがないまぜとなり炎と化し、僕の身体を焼き尽くし、焼豚が出来上がりました。神様、毎日何かしらの罰ゲームが発生させるのはやめてください。それも熱々おでんとか、辛子入りシュークリームとかリアクションしやすいやつならまだしも、そういうのではなくて、えぐられる感じの痛みを伴うやつはダメ。日記を書いて、思い出したくない出来事を全部アウトプットして頭から追い出そうとしても、記憶力というやつは天邪鬼なおてんば娘でちっとも思い通りにならなくて、忘れられずにいつまでもこびりついたままです。それだけならまだしも、忘れてはならないことほど僕は忘れてゆきます。例えばDVDレンタルでは一度借りたのをしょっちゅうダブって借りてしまいます。特にシリーズものは、ちょびっと間が空いただけで何話まで見たかわからなくなります。借りる時はたえずどきどきし、どきまぎもします。僕が借りたやつのタイトルは全部、店のデータベースに取り込んでるはずです。だったらコレ以前にも借りてらっしゃいますよ、と会計の際に指摘してくれてもいいじゃない。それは余計なお世話じゃないし、僕はやしきたかじんじゃない。いちいちうっとおしいねん、また見たいから借りてるねん、めっちゃ好きやねん、やっぱ好きやねん、悔しいけどあかん、あんたよう忘れられんーとは歌いません。だから助けて。漫画やら小説なんかもまた然り。今まで星の数ほどダブり買いしては、家で泣き叫んできました。そりゃあもう、さまざまなスタイルを試しました。最も泣き叫びやすかったのは、両手を突き上げるいわゆるプラトーンスタイルです。ダブり買いに恐れおののいていると、持ってないやつを買いそびれて泣き叫ぶことになりました。泣き叫んでは買いそびれ、泣き叫んでは泣き叫びました。積読が多すぎるから、余計にそうなります。そんなこと、億も承知です。すでに自分が所有している本を把握するのはむずかしいです。午前7時半に起きるのと同じくらいにはむずかしく、午前8時半に会社へ行くのと同じくらいにはむずかしいです。というか無理です。本と本とが複雑かつ奇怪に入り組んだ、まるで巨大ジェンガのごとき存在感を放ちながら四畳半にそびえる山、それが積読です。何かの中枢のようでもあり、ハウルの動かない城のようでもあります。完全に常軌を逸した量のこいつを減らすには、いささか骨が折れます。比喩的な表現ではありません。油断すると全身の骨という骨が本当に折れます。「仮面ライダーSPIRITS」でいうなら14巻は比較的抜き取りやすい位置にありますが、7巻はそれより下、かなり危険な位置にあります。だいたい上のほうは最近買った本で、下になるほど古い本で構成されているがゆえに、下のほうから順に手をつけねばなりません。でも無闇にぶっこ抜こうものなら瞬く間にジェンガは崩れ、下敷きになり死にさらします。まさしく死亡遊戯。アチョー。言うてる場合かボケー。まずは本物のジェンガでシミュレートして、感覚を掴むところからはじめるべきかもしれませんが、血のにじむような訓練を重ねた僕がジェンガマイスターへとクラスチェンジしたところで、私設武装組織にスカウトされませんし、前戯・F・セイエイ(Fはフェなんとかチオの略)とは名乗りませんし、劇的ビフォーアフターに登場を断られた匠がなんかいじくり回してゆったり感あふれるコクピットへとリフォームされたダブルエル(LL)ガンダムに身体を押し込み、そこそこの攻撃力で積読へと介入し、積読どころか本そのものを根絶する物語ははじまりません。だから僕は、膝枕で本を読んでくれる母性本能に満ちあふれた川村ゆきえさん似の汎用人型ダッチワイフ「エリア88式」が欲しい。もしくは食べるだけでみるみる記憶力が高まってゆくコンソメWパンチでもよかろう。あまつさえ両方を手にした場合、睡眠欲と性欲と食欲の三大欲求がすべて満たされ、DVDも漫画も小説もいらなくなります。ようやく二次元に活路を見出す日々から卒業し、人生の勝ち組に転じられ…ってことは何?今の僕は何に負けてるの?そもそも人生に勝敗とかあったっけ?誰が味方で誰が敵?というかあなた誰ですか?今日の日記の着地点はどこですか?

一人ジェンガ

一人ジェンガ

  • 作者: 矢井田瞳
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2003/09/10
  • メディア: CD