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四畳Haaaan!!!

(最初に書いておきますが、僕は、痔ではありません。医者曰く、「おしりかじり虫にかじられているだけ」とのことなので、ブームが過ぎれば治るはずです)
僕らが初めて会ったのは白木屋でしたが、白木屋といえばもちろん合コンでした。「下の名前で呼んでもいいですか?」と彼女はつぶやいて、つぶやかれた僕はとても驚き、よろめき、首を縦に動かしました。ヘヴィメタバンドよりも激しく、ガクガクと小刻みに。視線が合えば合うほど顔面は熱を帯び(特に耳たぶの熱さたるやもう)、きっと彼女の両目からは何らかのビーム、のようなものが放たれているにちがいなく、その正体を見極めるべくおっかなびっくり覗きこんでみた瞬間に、ぼうっと顔面が燃え上がり、慌てて退却を促したものの間に合わず、「触ると気持ちいいですよね、うんうん」と坊主頭を撫でられるなどの激しい追い討ちのせいで、我が軍はもはや壊滅状態であり防御力はゼロに等しく、電話番号とメールアドレスを交換している頃には目尻は下がり、頬はゆるんでいました。注文を取りに来ていた店員と、がっちり握手を交わしていました。要するにイチコロでした。瞬間最大点数は驚くべきかな小倉優子さんを遥かに上回り、頭の中には立派なお花畑が広がりました。それを枯らさぬよう僕は、毎日欠かさず水をあげるようにお願いしました。希美、佳苗、珠恵にお願いしました。すると次の週にはなんと、あの幻の行事、「泥賭(でいと)」のお知らせが届いたのです。しかし当方、異性からそのようなお知らせを頂戴するほどの機能は何一つ備えておらず、だとしたらこんなものは明らかに罠であり、うかつに足を踏み入れようものなら得体の知れない教材を売りつけられたり、得体の知れない自己啓発セミナーに参加させられたり、得体の知れない事業に出資させられたりするに決まっています。今までだってそうでした(おのれ孔明!)。生け捕られぬよう細心の注意を払いながら、「お魚を見に行きませんか?」というお誘いメールに「お魚、大好きです!」と返信しました。あまりのぬかりなさに全米が脱帽したと聞いております。それにしても彼女はどうやって、僕の大好物がお寿司だと知り得たのかそこは謎でしたが、その週の土曜日、僕らは海遊館へ行きました。


とても楽しそうな表情で魚を目で追いかけている彼女。クルクルと忙しそうに動く黒目がちな目に見つめられ、魚類ですら心なしか浮き足立っているようでした。その様子を眺めているだけで僕は満足でした。明らかに売れ残っている、えらくリアルな造形なマグロのキーホルダーを2つ購入した彼女からその1つを手渡された時には、やや戸惑いましたが、それなりによさげな雰囲気は維持していたと思われました。天保山らへんをぶらぶらした後、車で移動して、韓国料理店へ行きました。注文したコムタンスープに口をつけながら、僕はみなぎっていました。ついに夜を迎えて、勝利、そして戦利品を目前にして何かがもたげていました。ゴツゴツとテーブルに当たっていました。人生のピークが近い。それを証明するかのように、海開きを彷彿させる量のカウパー液が分泌され、手の震えは止まらず、そのせいか口に運ぼうとしているチヂミでさえ、ピンクローター同然でした。そんな錯覚に陥っていたせいもあり、僕は少々油断していたのかもしれません。「21時までに帰らないとお父さんに怒られるのです」と告げられて、あんぐり開いた口からはチヂミがこぼれ落ち、幸福のすぐ近くにはいつでも地獄が口を開いて待ち構えていることを思い出していました。時計を見るとすでに20時を過ぎており、帰宅に要する時間を差っ引くと、残された時間はあとわずか。彼女の言葉が真実だとしても、箱入り娘を箱から取り出す超魔術を会得している余裕はありません。かといって日本語がわからないフリをして延長戦に持ち込むのが得策だとも思えません。異常性欲者には異常性欲者なりのルールがあるのです。記録と処女膜はいつか破られるためにあるのだとしても、道場と門限だけは破りたくない。だから僕は気まずい空気が漂い始める中、「えっと、ついさっき思い出したのですが、奇遇なことに僕も21時が門限なんです!すっかり忘れてました!」と彼女に言いました。するとうつむいた顔を上げた彼女は、微笑んでいました。「ありがとう」と言いながら恥ずかしそうにして、またうつむいて、時間がないのになかなか腰を上げようとはしませんでした。少し躊躇して、それから手を差し出すと、彼女は僕の手をぎゅっと握ってくれたのでした。なにか後ろめたくて、自分に腹が立って、声には出さずに謝ってから家まで送りました。ぎりぎり間に合いました。次の日の朝、昨日の出来事が全て夢だったような気がして、でもウンコしたら肛門がやたらと火照ったので、奇しくも夢ではなかったことが証明されました。


僕はそれ以来、しばちゃんと会う時は、なるべく辛いものを食べるようにしている。

SONGS OF SAKANA いろんな場所に君を連れていきたい

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