小走刑務所

ピーコピコと歩行者用の信号が点滅しているのに気づいてカバンを抱えて口をへの字に曲げながら小走りする女子。横断歩道で停まってくれた車に軽く会釈してから申し訳なさそうな表情で小走りする女子。待ち合わせ時間過ぎちゃってごめんねとうっすら涙を浮かべながら友達のところへ小走りする女子。そのような状況を妄想するだけで箸が進んで止まらなくなるのは、つまり僕にとって、あらゆる意味でこれ以上のおかずは存在しないといえるのではないか。その女子が小倉優子さんであればなおヨシ。宮崎あおいさん、または長澤まさみさんでもよし。というより誰でもバチコイ。街角で小走りしている女子を見ながら全裸でがつがつ白飯を食べているおっさんがいたらそれはたぶん僕なので、黙っておかわりを用意されたし。小走りフェチでは誰にも負けない自信があるのだ。だからもし、世界的な自然災害が起きたとしたら、どうか世界中の女子のみなさんはあんまり慌てずに、小走りで逃げまどえばいいじゃない。そうすることで世界的な自然災害とはまるで関係なく、僕を真っ先に死なせてほしい。こいつ…なんでこんなにやすらかな死に顔を浮かべてるんだ…って不思議がられることができれば本望なので。でもその反面、自分では小走りしないで、なるべく歩くようにしている。だって小走りする小太りはかなり見苦しいというか、小走りしただけで何事か起きたのかと心配されるくらいに汗が噴き出たりするというのもあるのだけれど、これはまあ、サッカーを見るのは好きだけど自分でプレイするのはちょっと…みたいな感覚に似ているのかもしれないから。


というのが今朝、会社に遅刻してしまった理由なんですけども、説明していくうちにハゲチャビンが沸騰して手に負えなくなったので、小走りで逃走しました。

ナンバ走り

ナンバ走り

  • 作者: 矢野龍彦、金田伸夫、織田淳太郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2003/11/14
  • メディア: 新書