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Hate song(#927)

事前に何も知らされぬまま待ち合わせ場所へ着いたぼくを待っていたのは友人3人と見知らぬ女性4人の計7人の集団でした。日本人を大まかに分類すると、小倉優子さんとぼく、そしてそれ以外となり、そういう意味ではこの濃いメイクと派手なファッションで統一された女性陣は問題外であり、これからこの面子で合同コンパなる男女が乳繰り合って楽しい時間をプライスレスで過ごせるという素敵なイベントが始まるらしいのですが、果たして本当に楽しい時間が過ごせるのか。ぼくのドラゴンレーダーが無反応なのもいささか気がかりです。しかし、しかしだ。合同コンパなるイベントには5人までメンバーチェンジ可といったルールが存在するはずで、いつかきっと妹オーラを隠し切れない女性がぞろぞろと登場してくるはずで、なるほどぼくが好物は最後まで取っておくタイプだというのを把握したうえでの友達の粋な計らいなのだと、そう考えたらオラわくわくしてきたぞ。


車で居酒屋まで移動することになり、友達1人と女性2人がマイカー(新車)(2ヶ月前に購入)に乗り込んできました。マイカー(新車)(2ヶ月前に購入)を発進させるとすぐに彼女たちが車内で煙草を吸い始めたので目の前が真っ暗になり信号機に激突しそうになりました。オーナーですら喫煙を控えているピッカピカの車内で何の断りもなくそれが当然のまるでシートベルトでも装着するかのように煙草を吸うなんてキェーーーー!おそろしい輩がいるもんですね!明らかにぼくの理解を超えている!UMAが現れました!矢追さーん!!!!というソウルスクリームは全く彼女らの胸に届くことなく、あまつさえ吸い終わった煙草を窓から投げ捨てたりなんかしてクワッッッ!ひどい。切ない。こんなことが許されていいはずがない。そう思い全ての窓を全開にしてやりました。彼女らの、在りし日の工藤静香のごとく整形された前髪よ、存分に乱れるがいいさ。君達はもう自由なんだ。


居酒屋ではご予約席というプレートが置かれた座敷部屋に案内されました。妹キャラが登場するまでは隅っこでじっとしておこうと思っていたのに、先ほどのポイ捨てガールズに挟まれる形で着席させられたのはきっとなにかの罰ゲーム。もしくは先ほどの報復行為。合同コンパとはこんなに恐ろしいものだったのか!やはり何事も実際に体験してみないと分からないものだと、机上の空論にばかり振り回されてはいけないなあと反省している間にもあれよあれよとアルコールを摂取しているみなさん。かなりの大きさのピッチが運ばれてきてはそれをジョッキにざぶりざぶりと注ぎ足しては空にするの繰り返し。きさまらの前世は海賊か!目の前にある船盛りの器に乗って出航してしまえ!もうぼくにはウーロン茶をちびちびとやりながら枝豆を食べることしか、というか枝豆オンリー。なぜなら他の料理は全て海賊一味のアイアンストマック送り。前世は海賊、現世はフードファイターという波乱万丈な輪廻転生ってかっこいい!そんなひとたちと出会えて嬉しい!前向きに考えながら一心不乱に枝豆の皮を剥きました。人生で最も枝豆を食べれて嬉しい!必要以上に塩味が効いてて嬉しい!


1時間ほど経過して、ようやくパイレーツ・オブ・カリビアンズの飲食ペースが落ち着いてきました。すでに鼻の周りが赤くなってへべれけになりつつあるカリビアンA、そろそろアイパッチを付けそうなカリビアンB……。「あんたも喋んなさいよー」とやたらと爪の長いカリビアンDが絡んできました。もちろん普段なら女性に絡まれるのは嫌いではなくむしろウェルカムなのですが、いかんせんカリビアンDの口臭は煙草やらアルコールやらでモルボル化しているわけで…。


リビアン + モルボル = モルボリビアン(!)


早くもラスボスが登場するとは…。しかし妹キャラの出現フラグが成立するまでは死ぬわけにはいかない。呪文を、なにか、呪文をください…。というより今一番必要なのはブレスケア。2万粒ほどその口に放り込みたい。ああっ、そうこうしてるうちにも急接近するモルボリビアン。これがもし小倉優子さんだったら嬉しさのあまり昇天してしまうに決まってるのですが、相手がモルボリビアンでは単に気絶するだけであろうことは想像に難くなく、意識を失ったが最後、何をされるかは分かりません。頭の中で鳴り止まないエマージェンシーコール。ならば残されたたったひとつの冴えたやりかたといえばできる限り息を止めることのみ。紅潮する顔面。それを見て「なに照れてんのよー」と誤解して更に接近してくるモルボリビアン。だめだ、もう口が、息が、夢なら早く覚めてください…。


(いろいろありましたが中略して)すでに居酒屋に入店して3時間が経過、ぼくの疲労はピークに達し全身に力が入りません。嗅覚も麻痺してしまったようで、今ならあの大嫌いな納豆も食べれそうな気がする。なのに、他のカリビアンズはなんでそんなに元気なのか。挙句の果てに「王様ゲームしようぜ!」などと口走る始末。テーブルを叩きまわって喜ぶカリビアンズ。というか、王様ゲームってとっくの昔に絶滅したのではなかったのか…。なんだろう、リバイバルなんだろうか…。よく分かりませんが、すでに何を言っても無駄な空気が出来上がっているので、あとはもうこれ以上トラウマを負わされることなくこの場を切り抜ける方法だけを考えるのみ。普段はまるで神様などアテにしたことのないぼくが、この時ばかりは心の底から祈りました。「助けてください!助けてください!」朔太郎より必死に助けを求めました。そして恐る恐る引いた割り箸の先は黒く塗られていておお!神よ!信じる者は救われるのですね!王様です!王様になりました!七つの海を統べる勢いでぼくは叫びました!


「王様は家に帰ってよし!!!!」

大海原の悪魔

大海原の悪魔

  • 作者: 馬場啓一
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 1998/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

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