小さな恋のメロディ

ここだけの話、ゆり子さんのことはまだ秘密なのです。ひみつのユリコちゃん、オールカラーで脳内絶賛連載中です。ゆり子さんとはわたしがおつきあいしている女性のことであり、つまり石田ゆり子さんとは無関係なわけですが、CCC(Chokusetsu Chissu Complete)まで秒読み段階を迎えているのは間違いありません。というより間接チッス5回で直接チッス1回にカウントするわたしのルールではすでに3回はしている計算になりますし、ほっぺにチッスはクリア済み。正確にはクリアしてもらったと言わざるをえませんが。今のところゆり子さんペースで何もかもが進んでいるように見えるのは気のせいですおそらく。確かにお会いするたび、わたしに対する彼女のボディタッチ回数(※上半身のみ)は増えてはいますが、わたしのゆり子豆知識だって負けてはいない。爆発的に増えている。手をつなぐ際の不自然かつ無意味な予備動作も減ってきたと自負しております。ただ車を運転中、車検証入れを丸めて乳首ドリルしてきた時にはさすがのわたしも驚いて、ブレーキを踏んだ拍子にエアバッグではない箇所がふくらみました。「田中さん、ちょっと弱点が多すぎるのでは…?」とゆり子さんがガラパゴス諸島にしか生息していない動物を見るような目で見つめてきたので、髪の毛をくしゃくしゃにしてさしあげました。鼻を近づけて全力で吸い込みさえしました。頭皮から何かが出ているとしか思えないほどのナイスなパフュームにわたしのポリリズムがチョコレイトディスコしはじめましたが、情報統合思念体によって作られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースより感情が欠落した声で「信号青ですよ…」と言われてすぐに我に返りました。お母さん、ごめんなさい。来世は使い捨てじゃないタイプのオナホに付属した中途半端に余りがちなローションとして生きます。

外食する回数が増えたり、ごはんをおかわりする頻度が減ったり、iPhoneの画面を見つめながらへらへらする姿を目撃されてたりもするので、もしかしたら怪しまれてはいるかもしれませんが、母の前ではとにかくゆり子のゆの字も口に出してはいません。勝手にお邪魔するのもあれなので一度ご挨拶させてくださいとお願いされようが、ゆり子さんが家に遊びに来る時は、スーパー銭湯もしくは姉夫婦の家へ父とセットで送還します。一言で表すなら母は、笑わせる気がない上沼恵美子のような人なのですが、秘密にしている理由はそれではありません。ゆり子さんの前で母がうっかり口を滑らせることを恐れているわけではないのです。まだ報告すべき時期ではない。ただそれだけが理由です。「結婚なあ。そんなもん、あんたの好きにしたらええよ。ゆうても相手がおれへんかったらしようがないからなあ。ウヒャヒャヒャ。ま、あんたはな、わたしらより先に死なんかったらそれでええわ。それよりあんた、風呂まだ入らへんの?」と言い続けてはいますが、「わたしが死んだらあの子、ちゃんと生活していけるんやろか…心配やわ…」と親戚のオババに漏らしていたと別のオババから聞かされたことがあります。本音のところはいつまでもふらふらしている阿呆な息子がよき人と契りを交わして早く落ち着いてくれたらなあ…と思っているにちがいありません。だからこそ変に期待させて、のちに落胆させたくないという気持ちが働いてしまい、なんとなく言えないまま今に至ってしまいました。でもゆり子さんのかわいらしさにびっくりする母の顔は早く見たいので、そろそろ潮時なのかもしれません。

時期といえばもうひとつ、いつ敬語をやめるのか問題もまだ解決の糸口が見えません。やはり、挿入後なのでしょうか?挿入中に敬語というのはさすがに変だとは思うのですが、個人的な事情により挿入してからはひたすらネグリジェ姿のIKKOさんを思い浮かべるなどしてなんとか少しでも稼動限界時間を引き延ばす必要があるためいっさいの余裕はなく、だとしたら挿入前に決着しておきたい。しかしながらわたしの恋愛知能指数ではどうすることもできない。最近では親しげな口調で言葉を交わすカップルを目にするたびに心の金属バットをフルスイングしています。自分らだけそういうのずるい。切り替えるタイミングを完全に見失ったままお互い敬語を使い続けているわたしの気持ちがわかるのか…?わかりませんよね…?でもゆり子さんはツッコミを入れる時だけ普段の感じになります。もしかしたら本人は意識してないのかもしれませんが、これがまた失禁するほどかわいい。「何ゆうてんのんもう」からの「田中さんのアホ」の破壊力、これはもう、実際に食らってみないとわからない。普段は敬語だからこそ生まれた高低差がかわいさをさらに加速させていく。この奇跡、普段は上から目線なのにエッチの時だけ甘えた声になる女性の非ではないです。これは動画でしか見たことないけどたぶんそう。あとわたしの薄いボケもだいたい拾ってくれるのです。好きです。若者のような勢いこそありませんが、起きてから寝るまでの間、まんべんなく好きです。堅あげポテトの匠味シリーズと同じくらい好きです。ぺったんこのスニーカーを履くようになったのは、わたしに気を遣ってのことでしょうか。でも中学・高校とバスケ部だったのは本当なんです。信じてください。毎日牛乳飲んでは毎日下痢してました。ぶら下がり健康器にぶら下がり続けた結果、胴長短足っぷりが増しました。努力はウソをつかないというのはウソです。全てが裏目に出てしまう人もいます。背が伸びないなら持久力だけでも…とみんなが体育館で練習中に1人で学校の周りを走ってたら車に轢かれて病院送りになることだってあるんです。

だからエッチの時に甘えた声になる係はわたしにまかせてほしい。

 

イルミナティ最高機密文書

イルミナティ最高機密文書

 

 

感触は永遠

意外に思われるかもしれませんが、会社には遅刻するほうです。目が覚めてなにげにテレビの電源を入れると南原さんがちらっと見えて、おや?ああ、これは確か…アサナンデス…と胸を撫でおろしたこともありました。でもゆり子さんとのデートにはいまだ遅刻したことはありません。それはなぜかと聞かれても、ゆり子さんには終身雇用されたいので…としか言えないのですが、寝坊の神に寵愛されているわたしとしては、休日のデートはそういう意味でも前日の夜からどきどきです。ソースの二度漬けとデート当日の二度寝は絶対ダメなのはわかっている。わかっているのです。とはいえiPhoneのアラームのみではいささか心許ないので、最近目覚まし時計を購入しました。「この店で一番効くやつを頼む…」と某家電量販店の店員さんに告げると、なぜだかややこしい客を見るような目をされました。ところでゆり子さんとはわたしがおつきあいしている女性のことであり、つまり石田ゆり子さんとは無関係なわけですが、はたして運命の赤い糸というものが実在するならば、彼女のほっそりとした人差し指に結ばれた糸を辿っていくと亀甲縛りされて恍惚の表情を浮かべるわたしの姿があるのは言わずもがなですし、中三の頃から心身ともに成長がぴたりと止まった件についても、今となっては13歳の年齢差を埋めるためにあらかじめ用意された神様からの贈り物としか思えないわけで。ただ、おちんちんだけはもうちょっと育ってほしかった。あと長男なのにおちんちんが末っ子気質なのはなにゆえか…

先週末、わたしの部屋でるるぶ的な雑誌を見ながらたこ焼きを食べていると、「お互いの一番好きなところを言い合うのコーナー」とゆり子さんが意味不明なことを口走り、お約束のようにわたしは口からたこ焼きを発射しました。最近気づいたのですが、彼女は発射させたがるフシがあるようです。そっちがその気なら…と皮まくり(※腕まくりの類似語です)しながらも、「そういうのはちょっと…」ともじもじしていると「観念しなさい」と目に力を込めて言い、「医者に止められているので…」とすっとぼけると「じゃあわたしから言いますよ!」と怒りはじめるゆり子さん。ひとまず謝るわたし。だって無理でしょ普通…例えるなら買取りまっくすで一枚だけDVDを選べと言われてるようなもんですから…選べませんって普通…天使もえさんとか…鈴村あいりさんとか…神木さやかさんとか…ねえ…あの…いや…なんていうか…ほら…ビルの警備室なんかですごい数のモニター並べて監視してるじゃないですか…ああいう状態でいっぺんに見たいぐらい好きなんですよ僕…この気持ち…どうか届きますように…とは言えないので、買取りまっくすをケーキ屋に置き換えて伝えたのですが、わたしの肩にアゴを載せたまま耳をふさいで頬をふくらませている彼女がコツメカワウソの赤ちゃんの二億倍かわいいので諦めました。どうしても一個には絞れないことを断ったうえで三個だけ発表したところ、「こ、これはなかなかに…恥ずかしくなりますね…」と感想を述べたゆり子さんは、期待が顔に出ないように努力しながら鼻をパンパンにしているおじさんに向かって、「わたしは…ほっぺたがツヤツヤしているところにしておきます」と発表してきました。あかん…それはあかん…それはオチとして弱すぎるぞゆり子…とがっかりしながらたこ焼きにまぶされた青のりをじいっと見つめていると、アゴに載せられていた顔が不意にわたしに近づき、ほっぺたに唇が押し当てられました。もう一度書きますが、ほっぺたに唇が押し当てられました。その間おそらく数秒の出来事でしたが、歴史的事件が起きた瞬間でした。もしわたしが今死んだら、凶器は鈍器ではなく軟器。死因はもちろんやわらか死。

たこ焼きが冷めた分だけ人間の身体は熱くなります。

 

ほっぺに、ちゅー。 (こども絵本)

ほっぺに、ちゅー。 (こども絵本)

 

 

同じ景色を見たいんだ

残業中に「明日は休日出勤しなくてもだいじょうぶそうですか?(したら許さん!)」と書かれたゆり子さんからのメールを見ながら、土日はあなたの隣に皆勤賞ですよ…!と鼻息でそこらじゅうの書類を吹き飛ばしてたら後輩が話しかけてきました。ゆり子さんとはわたしとおつきあいしている女性のことであり、つまり石田ゆり子さんとは無関係なわけですが、わたしにとっての天使という意味では同じといえます。まさかこんなに素敵な女性が自分の前に現れて、お祭りに行こうといえば浴衣を着てくれたり、山に登ろうといえばお弁当を作り、ほっぺたをふくらませながらびっくりするほど黒ずんだエビフライをわたしの口に無理やり押し込んだりしてくれるような日がやってくるとは思いませんでした。人生、何が起こるか本当にわかりません。ここ10年ほどひたすら女性について動画で学び続けた甲斐があったというものですが、最近、広瀬すずさんがインターネット上でこっぴどく批判されてるのを目にしました。かわいらしい人は人目を惹く分だけ目くじらを立てられやすいのかもしれないな…と思い、だとしたらゆり子さんとて危険なのではないか…と心配になりました。うっかり発言が原因で、職場でいじめられたりはしてないだろうか。菜々緒さんのような少しきつめの顔立ちの同僚に「ちょっと聞いたよ~。あんたの彼氏、早漏らしいじゃん」などと鼻で笑われたりしてたら、いったいそれは誰の責任なのか。彼女はわたしのようなポテトチップス食べ虫にも生きる希望を与えてくれた人です。国から報奨金が出ることがあっても、1秒たりとも悪意にさらされることがあってはならない。そういうのは全部、わたしのおなかで弾き飛ばしたい。つねづねそう思うわけですが、はたしてわたしは何の話をしているのでしょうか。そう、後輩です。後輩とは巨乳の彼女と週3ペースでエッチしている不屈の海綿体を備えた男であり、礼儀正しさという概念を完全に失ったエグザイルのような見た目の男でもあります。フルマラソンを完走したその日に2回エッチした彼が次の日何事もなかったかのように出社して、お昼ごはんを食べながら気絶したのはわりと最近の話です。そんな後輩との会話を以下に記録します。

「田中さん、もうコンドーム使いました?」

「もちろん使いましたよ。4個くらい」

あまりに予想外だったせいか、手に持ったタンブラーを落としてコーヒーをフロアに撒き散らす後輩。青ざめた顔をしながら後ずさり、壁にもたれて「昼ごはん1回損した…」とずるりとくずおれる後輩。まさか賭けの対象にしていたのかこいつら…と呆れ返りながら帰り支度をはじめるわたし。PCの電源を落とす指が震えるのを必死で抑えるわたし。だいじょうぶ…ウソはついていない…ただ…本来の用途とはちょっとちがうというか…いざその時になって不手際があってはいけない…そんな気持ちが高じて…装着する練習に使ったというだけのことです…うん…まあ…冷静に考えてくださいよ…吉野家で牛丼注文してから出てくるのに30分かかったらどうです…怒るでしょ…つまりそういうことですので…という顔でエレベータに乗りました。

   

「たった3分」からの大逆転――男の「早い」は才能だった!

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